「クラウドファンディング」とは、「Crowd(クラウド)=群衆」と「Funding(ファンディング)=資金調達」を組み合わせた造語です。企業が商品開発や新規事業に乗り出す際の資金調達方法として利用されています。
クラウドファンディングは、基本的にリターン(クラウドファンディングに参加したことによる見返り)があるのが特徴。リターンがお金なら「投資型クラウドファンディング」、お金以外の商品やサービスなら「非投資型クラウドファンディング」に分類されます。ここでは、投資型クラウドファンディングについて解説しているので、気軽に始められる少額投資をお探しの方は参考にしてみてください。
投資・出資者にリターンが確約されている「投資型クラウドファンディング」は、大きく3つの種類にわけられます。
新しいことをはじめたい企業に融資をするもの。クラウドファンディングを通して、少額で売買している株を購入する形で資金調達に寄与する方法です。未公開株なのでハイリスクかつハイリターンだとされています。
クラウドファンディングを通して、プロジェクトや事業などを始めたい人に融資するもの。プロジェクトや事業の「サービス」「商品」「売上の一部」がリターンとなります。
ソーシャルレンディングは、個人から資金を集めて事業者に投資するサービスです。
ソーシャルレンディングを利用する事業者は、ビルを建設したい不動産業者や住宅のローンを提供している会社など。個人投資家と事業者の間にクラウドファンディング業者が入り、投資家から集めた資金を「融資」という形で事業者に貸し付けます。その後、融資先から支払われる利息と返済される元本をリターンとして投資家に分配する流れ。借りる側は低い金利で資金を集められ、また貸す側はリスクがあるぶん利回り(年利)の高い投資が可能です。
「少額でクラウドファンディングを始めたい」「リスクをなるべく抑えたい」という方におすすめなのは、ソーシャルレンディング(融資・貸付型)です。
複数の投資家から出資を募って融資する流れのため、資金調達ニーズに沿った融資が可能。1口数万円の少額から参加できます。
また、融資先から支払われる利息と返済される元本がリターンになる点も、クラウドファンディングの入門としておすすめです。
ソーシャルレンディングは、2005年にイギリスの「ZOPA」がはじめた個人間で小口から融資を始められるサービスです。個人が中小企業にお金を貸して、利回りのよい金利収入を得られるビジネスモデルが魅力となり、世界中に広がりました。
日本で初めて提供されたソーシャルレンディングサービスは、2008年10月15日に開始した個人間融資サービス「maneo」です(maneo公式HPより)。現在では、投資家のニーズに応える様々なソーシャルレンディングサービスが登場しています。
アメリカのソーシャルレンディングの市場規模は2015年で2兆5千億円。対して、日本の市場規模は2017年で1,000億円と桁違いです。
日本で初めて提供されたソーシャルレンディングサービスは、2008年10月15日に開始した個人間融資サービス「maneo」です。(maneo公式HPより)。個人向けの融資サービスを始めましたが、残念ながら頓挫。その後も個人向けの融資サービスが流行ることはありませんでした。現在の日本では、どちらかと言えば法人や不動産を対象にしたソーシャルレーディングが主流です。
一方アメリカでは、個人向けの教育ローン専門の「SoFi」が流行しました。高学歴・高収入層の個人に特化したことで、貸し倒れのリスクを抑えることに成功したのです。その後も個人向けのソーシャルレンディングサービスは急成長を続けています。
ソーシャルレンディングは、2015年の金融庁の規制緩和以来、さまざまな事業者が参入して市場規模が急速に拡大しています。メディア露出も増えて知名度が上がりました。
ソーシャルレンディングで投資を始めるメリットについて、詳しくみていきましょう。
ソーシャルレンディングは、個人投資家から資金を集めて事業者に融資する形の投資型クラウドファンディングなので、1口1万円程度から始められます。名目利回りは2.5~10.0%と銀行預金に比べて高く、貸付期間も3ヵ月から1年ほどと短いものが多いため、短期間、少額で投資したい人に向いています。
ソーシャルレンディングは、クラウドファンディング業者が融資先から回収した利息等々を投資家に分配する形になるため、自分で金融商品を売買するような手間はかかりません。「資産運用を始めたいけれども、株式市場や債券市場の相場など、難しいことはよくわからない」という人に向いています。
ソーシャルレンディングは法人や不動産事業に対する「融資」です。相場と連動して価格が乱高下する株や債券のような金融商品とは違い、国際情勢や市場金利に影響されにくく、資産価値の保全性が高い投資だと言えるでしょう。
ソーシャルレンディングは、投資家から資金を集めて融資を行うので、株や為替のように「売り損」「買い損」という概念はありません。投資家間の競争でストレスに感じたくない人に向いています。
ソーシャルレンディングは、少額から取引できる点、手間がかからない点、リターンが大きい点が魅力。しかし、あくまでも「金融商品」ですので、デメリットやリスクもつきものです。ここではソーシャルレンディングのデメリットを解説しています。
ソーシャルレンディングは基本的に「社会貢献」を目的とする投資です。FXや株式投資などとは違い、元本自体の価格が変動したり、レバレッジをかけられる投資ではありません。そのため、ソーシャルレンディングは利回りは高くても13%程度。株やFXほど大損することがない反面、一攫千金を狙うのも難しいでしょう。
ソーシャルレンディングは、新規事業に貸し付けるケースが多いため、その事業の業績不振で返済遅延やデフォルト(貸し倒れ)が発生する可能性もあります。新規事業の立ち上げ資金を貸し付けるという性質上、ソーシャルレンディング側は融資する時点で、借り手から何らかの担保を取得していますが、その担保等の実際の評価額と融資額が同じ価格であるとは限りません。そのため、返済遅延やデフォルトが起きた場合、担保等で融資したお金を全額回収できない可能性もあるということを、頭の片隅に置いておきましょう。
株や債券のように市場で売買されている金融商品とは違い、ソーシャルレンディングで投資したお金は、借り手の返済遅延が起こった時でも満期になるまで引き出すことはできません。
ソーシャルレンディングは、案件ごとに口座を開設する必要があります。複数の案件に投資する際は、案件の数だけ口座を開設することになるため、管理が煩雑になってしまう可能性が高いでしょう。
日本で主流の「不動産系事業者」「海外ローン」「再生エネルギー」「地方創生」の4分野におけるソーシャルレンディング事業者をいくつかご紹介いたします。
オーナーズブックは、東証マザーズ上場企業のロードスターキャピタルが運営している不動産案件に特化したソーシャルレンディングサービス。ロードスターキャピタルの不動産の購入と開発、売却事業と連携しているため、投資した企業の倒産リスクが抑えられる強みをもっています。
運営会社 | ロードスターキャピタル株式会社 |
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登録番号 | 関東財務局長(金商)第2660号 宅地建物取引業 東京都知事(2)第94272号 総合不動産投資顧問業 国土交通大臣 総合 - 第147号 |
加入協会 | 日本証券業協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 一般社団法人金融先物取引業協会 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 |
クラウドクレジットは、日本の投資家が持つ余剰資金と、資金を必要としている海外の社会貢献を目的とする事業者を「ローン」という形でつなぐ役割を果たしています。投資家は表面金利の高いリターンを得られ、海外の事業者は資金を得て新しい産業や雇用を作り出すことが可能。SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成に貢献するプラットフォームです。
運営会社 | クラウドクレジット株式会社 |
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登録番号 | 関東財務局長(金商)第2809号 |
加入協会 | 一般社団法人 第二種金融商品取引業協会 |
大手ソーシャルレンディングのクラウドバンクは、太陽光発電をテーマにしたソーシャルレンディングを取り扱っている傾向あり。再生可能エネルギー(太陽光発電・バイオマス発電・風力発電・水力発電など)をテーマにしたソーシャルレンディングは、他の案件と比べると利回りが高めですが、そのぶん元本割れのリスクも高いことを認識しておきましょう。
運営会社 | 日本クラウド証券株式会社 |
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登録番号 | 関東財務局長(金商)第115号 |
加入協会 | 日本証券業協会 |
インターネット総合金融グループのSBIソーシャルレンディングが提供する「SBISL地方創生ローンファンド」は「地域産業の活性化」という社会的意義を持つファンドです。地方の特色を生かした産業や雇用機会を創出する取り組みを行う団体と地方の活性化に共感する投資家の資金を結びつける役割を果たしています。
運営会社 | SBIソーシャルレンディング株式会社 |
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登録番号 | 第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2663号 貸金業登録番号:東京都知事(4)第31360号 日本貸金業協会 会員:第005783号 |
加入協会 | 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 |
ソーシャルレンディングで投資家が知ることができる情報は全体のごく一部にすぎません。株や投資信託にくらべて初心者でもチャレンジしやすい反面、資金繰りの悪化や大きな含み損が隠されている可能性もあるのです。
そのため、ソーシャルレンディング投資では「案件の利回りの高さに魅かれて一つの案件に多額の投資をして、大きな損失をこうむる」ということが、しばしば起こります。ソーシャルレンディング投資では「損を避ける」のが鉄則。分散投資と複利の活用で、上手に資産を増やしましょう。
ソーシャルレンディングを成功させるコツを2つご紹介します。
ソーシャルレンディングは経営が不安定な傾向があるので、利回りの良さに目を奪われて1社に集中して投資すると、その会社で問題が起きたときに損失が大きくなる可能性があります。複数の案件に投資する、または国内と海外の案件にわけて投資するなど、投資先を分散させましょう。
複利投資は、ソーシャルレンディングで得られた利益を、そのまま次のソーシャルレンディングに再投入する方法です。複利効果を意識して、コツコツと長期間投資し続けましょう。
ローリスクローリターン | 外貨預金・預金・債券・金投資・アンティークコイン |
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ミドルリスクミドルリターン | ソーシャルレンディング・投資信託・ETF・REIT・外貨MMF・株式・iDeCo・不動産 |
ハイリスクハイリターン | 先物取引・FX・仮想通貨 |
ソーシャルレンディングは投資ジャンルの中でも、ミドルリスク・ミドルリターンに属します。ミドルリスクミドルリターンは、比較的リターンの振れ幅が大きすぎず小さすぎないため、損失リスクを抑えつつ利益をあげやすい特徴があります。ソーシャルレンディングは基本的に「社会貢献」を目的とする投資で、元本自体の価格が変動することがなく、レバレッジをかけることもできません。少額から始められるメリットはあるものの、ミドルリスク・ミドルリターンの投資の中では大きな利益を上げにくいかもしれません。また、新規事業に貸し付けるケースが多いため、その事業の業績不振で返済遅延やデフォルト(貸し倒れ)が起こりうるリスクもあることを知っておきましょう。
ソーシャルレディングの他にも、ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用はたくさんあります。それぞれの特徴をわかりやすく解説しました。
投資信託は投資家から集めた資金をもとに、投資のプロであるファンドマネージャーが運用する金融商品です。投資家が投資信託を購入すると、ファンドマネージャーが市場や情勢の動きを見て、狙い目の銘柄に分散投資します。その運用成果に応じて、手数料を差し引いた分配金が投資家に渡る仕組みです。お金の運用のプロに資産運用をおまかせできるので、投資の知識があまりない方でも始めやすいでしょう。また、投資信託の投資先は1つではなく、株や債券、不動産など、複数の銘柄に投資できるため、リスクを分散させられるというメリットもあります。少額の資金から始められる投資信託も増えているので、気になる方は是非チェックしてみてください。
株式は、株式会社が企業運営資金を調達するために実施する投資方法です。投資家が企業の株を購入すると、株式が発行されます。株主になると、決算時期に配当金を受け取れることや、株主優待による特典を受けられるのが特徴です。
株式投資のメリットは、株主優待を受けられることや好きな企業を応援できる点にあります。一方で、株式は価格の変動が激しいため、ミドルリスク・ミドルリターンの投資の中でもリターン・リスクが大きい投資だと言えます。
ETF(Exchange Trade Fund)とは、市場全体の動きを示す指標等に連動する投資信託のこと。日経平均株価やTOPIX、海外の株式や原油、金などが該当します。メリットは、投資信託なので個別で会社を選んで投資をする手間が省けること。そして、株式市場の平均点を狙える投資であることなどが挙げられます。
【編集部が選ぶ】米国株式・日本株式を含む
上場投資信託(ETF)に少額投資できるトラノコをチェック
REITは、不動産を投資対象とした投資信託を指します。分散投資先を不動産ジャンルに固定するものの、分散投資ができるのが特徴です。REITを運営する会社が投資家から資金を集め、その資金をもとに物件を保有し、家賃収入の一部を投資家へ還元する仕組み。収益の90%以上を投資家に分配しなければならないという法律があるため、利回りは高めです。一方で、不動産実物の所有ができない点や自然災害が発生すると値下がりリスクがある点はデメリットとしてあげられるでしょう。
外貨MMFは、投資に使う通貨を外貨で運用する投資方法です。(マネーマーケットファンド)投資対象は、優良企業の社債・国債や為替が対象。メインは米ドルですが、オーストラリアやニュージーランドの通貨も使って運用するのが特徴です。外貨預金と比較しても利回りは高め。ミドルリスク・ミドルリターンの中でもハイリスク・ハイリターンよりの資産運用になります。最低金額10ドル程度の少額投資も可能で、為替手数料がやすい点はメリットとしてあげられます。一方、為替相場の影響を受けやすく、換金する際に手数料が発生する点は、デメリットとして挙げられるでしょう。
iDecoの正式名称は個人型確定拠出年金。老後に備えるための私的年金制度です。専用口座を開設し、定期預金・保険・投資信託のいずれかに一定の金額(毎月5,000円以上)を積み立てて運用する仕組み。定期預金の利息や投資信託の運用益など、運用で得た利益が非課税となるほか、口座内のお金が「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象となるメリットがあります。
いくらから始められる?
少額投資の種類を
必要資金で並べてみました
口座開設は必要なく、ポイントだけでファンドへの投資が可能。手軽に運用益をチェックすることができます。
お金のニュースサイトのような記事を通じて株を売買できるサービス。記事を読んで自身で売買する株を選びます。
初心者にとってハードルの高い資産運用の部分をプロが行うのが投資信託。NISAの口座なら、一定額の利益が非課税です。
「VR」「ドローン」など、イメージのわきやすいジャンル分けがされた10社の株をまとめて売買します。
トラノコ:TORANOTEC投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第384号 商品投資顧問業(農経(2)第19号)加入協会 一般社団法人 投資信託協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会、日本商品投資顧問業協会.
楽天証券:商号等:楽天証券株式会社/金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者/加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
Froggy:商号等:SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2251号/加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
One Tap BUY:金融商品取引業者 株式会社One Tap BUY 関東財務局長(金商)第2883号 加入協会/日本証券業協会
三菱UFJ銀行:株式会社三菱UFJ銀行/登録金融機関 関東財務局長(登金)第5号/加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
FXプライム:株式会社FXプライムbyGMO/金融商品取引業者/登録番号:関東財務局長(金商)第259号/加入協会:一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
THEO:株式会社お金のデザイン:金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2796号/加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会
テーマキラー:金融商品取引業者 株式会社SBI証券 関東財務局長(金商)第44号 加入協会/日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
dポイント投資:金融商品仲介業者 株式会社NTTドコモ 登録番号 関東財務局長(金仲)第844号/所属金融商品取引業者 株式会社お金のデザイン 登録番号 関東財務局長(金商)第2796号/加入協会:日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会
永久不滅ポイント運用サービス:<アクティブコース・バランスコース>金融商品取引業者 関東財務局長 (金商)第2882号/加入協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会、一般社団法人 投資信託協会
永久不滅ポイント運用サービス:<資産形成の達人コース・グローバルバランスコース>セゾン投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第349号/加入協会 一般社団法人投資信託協会
ネオモバ:商号等:株式会社SBIネオモバイル証券 金融商品取引業者/関東財務局長(金商)第3125号/加入協会:日本証券業協会
マネーハッチ:商号等/インヴァスト証券株式会社 証券コード8709 金融商品取引業者 登録番号/関東財務局長(金商)第26号/加入協会/ 一般社団法人 金融先物取引業協会 日本証券業協会 一般社団法人 日本投資顧問業協会
2級ファイナンシャルプランニング技能士(AFP)・スカラシップアドバイザー(2017年認定)。大手生保で企業年金の試算設計を担当。「島村由花」の筆名で、朝日新聞『デジタル版知恵蔵』の時事用語解説や『デジタル・ナーシンググラフィカ』を執筆。「小南由花」の筆名でFP Woman『女性のための「お金」と「人生」に効くコラム』をはじめ、お金や医療のWeb媒体でも執筆活動中。
著書:『アレルギーと生きる(新風舎出版賞受賞 星雲社)』、介護をテーマにした『人生の落第坊主(04年版文藝春秋ベストエッセイ集 文春文庫)』